注意すべきトラブルとその前兆
- 電解コンデンサの膨張
- 起動時の電源ショート
- 不安定な起動・稼働
基板に使用されている電子部品は消耗品であるため、長く使用していると寿命を迎えます。ただし、同じ型式・機種の制御機器・電気機器であっても、基板の寿命は同一ではないため、更新時期を見極めることは非常に難しくなっています。また、基板に使用されている電解コンデンサの寿命は、「 10℃2倍速の法則 」と言われる温度が10度上がると、寿命が半分になるという法則があるほど、使用環境温度によって大きく変化します。基板が使用されている環境温度をすべて一律にコントロールすることは現実的に難しいですが、温度と寿命の関係を理解しておくことは大切です。
他にも、基板表面に塵や埃が付着し、温度差による水滴が付着することで本来導通しない回路が通電し、ショートの発生原因になることがあります。このような基板表面の本来絶縁されるべき箇所が絶縁がされなくなる症状をイオンマイグレーションと呼びます。
トラブルが与える影響
- 生産ラインの停止
- チョコ停の発生
- 電気機器の精度不安定
生産工場や生産機械の様々なところに基板は使用されています。工作機械や半導体製造装置の制御盤のPLCやインバーター、サーボアンプやパワーサプライなどが代表例となります。他にも計測機器を初めとする各種電気機器内部にも使用されいます。これらの制御機器・電気機器の主要部品である基板が故障すると、生産指示や位置決め、信号の伝達や電気の通電が正常に働かなくなり、場合によっては生産ラインの停止しかねません。また、基板になんらかのトラブルが発生した際には通常の機械動作と違う動作が発生するケースがあり、製品の品質を損なう場合もあります。
1cmにも満たない基板上の電解コンデンサ1つが故障するだけでも、PLCやサーボアンプに異常が発生し、工作機械や半導体製造装置にエラーが生じ、生産ラインがストップする原因となるのです。
よくあるトラブルの対処法
制御機器・電気機器が故障対策は大きく2つです。1つ目が予備在庫品を持っておき、故障が発生した際に機器をリプレイスをするケースです(この対応の代表的なものがPLCのリプレイス)。2つ目が故障した機器の基板を修理する方法です。機器の故障が100%基板ではありませんが、高温で油や塵が飛散しているような生産現場での故障原因は圧倒的に基板の故障が多くなっています。
基板を修理する場合は、故障した制御機器・電気機器を修理先へ発送し、故障の原因を調べて、その原因箇所の電子部品を交換することで基板を修理することが可能です。基板修理を専門にしているエンジニアリング会社では依頼を受けた基板のうち、95%以上の基板修理実績があることも珍しくなく、新品の手配と比較して大幅なコストダウンが可能です。しかしながら状況によっては修理に時間を有する点のみ、ちゅいが必要です。故障した制御機器・電気機器が既に廃盤になっており、リプレイスするにも形状や仕様が変わっており、従来の機器を使う方が好ましい場合は、基板の修理がおすすめです。